カテゴリ:つれづれなるままに

キラキラ あしただね。

まる3月3日。9日前。「春休みまで学校は休校!」になってから、1時間だけ許された登校日。昇降口で生徒らが詰め寄ってきた。「私たちもう卒業式まで学校にこられないんですよね。」「このままでは大好きな先生にお礼がいえません。」「受検が終わったらたくさんお話できると思っていたのに。」「この気持ちを伝えるにはサプライズしかないんです。」「先生、私たちに少しでいいから時間をください」

まる3月12日。9日後。集会の終わろうとしたときに、「ちょっと待ってください!」と生徒から声があがった。サプライズだ。3年生から先生方への唄のプレゼント。歌うは「Gift」。泣いちゃったらありがとうが届けられなくなる。堪えながら必死に歌う3年生。体育館に感謝が広がった。子どもたちの唄をまっすぐ受け止めたら、心が動揺して感じちゃいそうで、先生方は身の処し方が子どものようだった。すてきな時間。よかったね。先生にちゃんと届けられて。

まる3月12日。今日。部活動の顧問の先生と3年間の最後にミーティングが行われた。感染防止対策のため与えられた時間はわずか。みんな顧問の先生のもとに集まる。先生の顔はもう部活当時の厳しい顔はない。みんなみんな穏やかで優しい顔をしている。どこもかしこも幸せな時間が流れている。

まる3月13日。あした。明日はそこにおうちの方がいるつもりで返事をしてね。明日はそこに在校生がいると思って背筋を伸ばしてね。明日はそこにあなたが15年間で出会ったすべての人がいると思って、卒業賛歌を歌ってね。そして神根中生として歌う最後の歌、校歌を3年間を思いながら歌いきってね。神根史上最高の卒業式を作り上げてね。そしたら…さようならだね。

まる3月14日。あさって。あさっては3年生はもう卒業生。もういない。あさっては今は考えたくない…。

 

虫眼鏡 神根中streetview

神根中へ通った道、そして帰り道。今年から許可されたあの北川口陸橋地下通路。やはり竹林を抜けると学校がそこにある。「いいね!」の吐露が聞こえてきます。

キラキラ 3月11日

まる3月11日。9年前、私は新座中学校に勤めていました。目の前でグニャグニャと波打つように揺れる校舎を仰ぎ見ました。清掃活動中の生徒らを校庭に避難誘導するさなか、パニックで家に逃げ帰ろうと暴れる生徒を抱きしめました。生徒ら全員自宅に帰宅させ終わったとき、ようやく自分の家族を思いました。一番大切なはずの家族に連絡すらできませでした。信じるだけでした。

まる3月11日。9年前、3年生は小学校にあがる直前のことです。3年生の中には卒園式やお別れ会のできないまま小学校に入学した子もいます。あれから9年、今また彼らに試練が襲いました。三送会はなくなりました。感染を防止するために卒業式は縮小されます。

まる3月11日。今日、体育館では先生方が3年生のためにイスだしから、卒業式の準備に汗していました。縮小しても、質素にしても、それでも神根史上最高に温かい式をつくりたいと準備しています。3年生、3年間の中学校生活の集大成をこの本番一発勝負のわずか1時間にこめようとしています。

まる3月11日。今日、例えば、紅白幕をとめる画鋲を卒業生のためにきれいなまっすぐなものを選んでいる先生がいました。卒業生に見られることもないのに。退場のときしか目にしない壁に掲示物を貼る先生方もいました。退場の涙のなかでその絵はどうみえるのでしょう。

まる3月12日。あした。3年生は登校日です。1時間しか学校にいられません。「学校がある」という日常がどれほど尊いか、3年生は明日また気づきます。みんな笑顔で来てください。特別な顔はいりません。ただただ、笑顔で来てください。待っています。

キラキラ 東雲(しののめ)色ってどんな色?

「天文雑誌の記事に惹かれ、未明の海へ出かけてきた。いて座辺りか、火・木・土星が瞬いていた。寒さに耐えていたら漆黒から日の出の方角が東雲色に染まりだす。今日が始まる場所を見た。合格発表、卒業…。3年生にも夜明けが近づいている。彼らの日の出を祝いたい。」(3月学校だよりから)