キラキラ 3月11日

まる3月11日。9年前、私は新座中学校に勤めていました。目の前でグニャグニャと波打つように揺れる校舎を仰ぎ見ました。清掃活動中の生徒らを校庭に避難誘導するさなか、パニックで家に逃げ帰ろうと暴れる生徒を抱きしめました。生徒ら全員自宅に帰宅させ終わったとき、ようやく自分の家族を思いました。一番大切なはずの家族に連絡すらできませでした。信じるだけでした。

まる3月11日。9年前、3年生は小学校にあがる直前のことです。3年生の中には卒園式やお別れ会のできないまま小学校に入学した子もいます。あれから9年、今また彼らに試練が襲いました。三送会はなくなりました。感染を防止するために卒業式は縮小されます。

まる3月11日。今日、体育館では先生方が3年生のためにイスだしから、卒業式の準備に汗していました。縮小しても、質素にしても、それでも神根史上最高に温かい式をつくりたいと準備しています。3年生、3年間の中学校生活の集大成をこの本番一発勝負のわずか1時間にこめようとしています。

まる3月11日。今日、例えば、紅白幕をとめる画鋲を卒業生のためにきれいなまっすぐなものを選んでいる先生がいました。卒業生に見られることもないのに。退場のときしか目にしない壁に掲示物を貼る先生方もいました。退場の涙のなかでその絵はどうみえるのでしょう。

まる3月12日。あした。3年生は登校日です。1時間しか学校にいられません。「学校がある」という日常がどれほど尊いか、3年生は明日また気づきます。みんな笑顔で来てください。特別な顔はいりません。ただただ、笑顔で来てください。待っています。